木の種類
仏壇に使われる木は『唐木』が主流ですが、その他にも『世界の三大銘木』や、なじみ深い『日本の銘木』など、様々な品種を原料として使われています。 唐木(カラキ)『唐木仏壇』に使用される材質は代表的なもので『黒檀(コクタン)』、『紫檀(シタン)』、『鉄刀木(タガヤサン)』、『白檀(ビャクダン)』、『花櫚(カリン)』などがあり、これらを総称して『唐木』と呼びます。木の原産国はそれぞれ違いますが、日本へは中国(唐)から入ったので「唐から来た木」というのがその名の由来です。 黒檀(コクタン)
古くから三大唐木としてよく知られている材質で「木のダイヤモンド」と言われるほど高価なものとされています。心材は硬質で水に沈むほど緻密なため耐久性は極めて高く、色合いは黒色なのが特徴です。 本黒檀、縞黒檀、青黒檀、斑入黒檀などがあり、インド・スリランカで採れる黒色の木が本黒檀と言われ、その中でも最高級とされているのが青黒檀で幻の銘木と称されています。現在では乱伐により原木の伐採が禁止され入手困難です。仏壇の材料としては縞黒檀が一般的に用いられます。 紫檀(シタン)
古くから工芸材料として使用され、宝物として残される唐木細工も数多く見られます。三大唐木として知られる銘木です。心材は硬質で水に沈むものがあるほど緻密で、色合いは赤褐色~黒色で縞模様があるのが特徴です。乾燥にはやや弱いところがありますが、腐りにくく耐久性は極めて高いです。 鉄刀木(タガヤサン)
三大唐木と称される銘木で、ミャンマーなどから採れる本鉄刀木は、希少材として知られています。装飾的価値が高い銘木として知られ、『飛白形』、『雲門形』、『矢箸形』などの『タガヤサン杢』と言われる濃褐色の独特な柾目の模様が美しく、黒檀や紫檀にはない重厚さが人気がです。材質は、『鉄の刀』と称されるほど固く、耐久力があり腐りにくいため、『家が長く続くように』という願をかけて床柱に用いられるほどです。その反面、乾燥には弱く、製材後に変色するため漂白をする必要があり加工は困難です。そのため、現在では『ウエンジ』という似た木材を用いることが一般的になっています。 白檀(ビャクダン)
古くから高貴な香木として用いられ、インドのマイソール地方で産出される白檀が最も高品質とされています。インドでは古くから宗教儀式に用いられ、その香りは最も高等な知恵と悟りと精力をつかさどり、精神安定・緊張緩和を与え、意気消沈・不安・ストレスから開放すると言われています。また、香木としてだけではなく薬や線香の原料として用いられたり、熱を加えなくても香気を発するため、仏像や数珠などの仏具や扇子の骨などに用いられ、高価な物として重用されています。直材は殆どなく僅かしか取れないため、仏壇の一部や仏像、仏具などに用いられます。 世界三大銘木近年では唐木以外の銘木でも仏壇が作られています。『世界三大銘木』といわれる『ウォールナット』、『チーク』、『マホガニー』などがそうです。 ウォールナット
古くから人気があり、ヨーロッパでは家具材として重用されていました。材質は、狂いが少ないため加工がしやすく、比重が軽い割に、固く強度や粘りがあり、衝撃にも強い良質の素材です。独特のくすんだ色合いで美しい木目が特徴です。 その他の世界の銘木黄王檀(キオウタン)
材質は固く綿密で耐久性も高く、磨けば美しい光沢を放ちます。独特の色目と黒縞模様が特徴で、色目が黄色がかっている事から『黄王檀(キオウタン)』と呼ばれるようになったのが名前の由来とされています。 シャム柿(シャムカキ)
重くて固い材質で耐久性はありますが、加工は困難です。色目は灰色がかっており、濃淡のある黒縞模様が特徴です。磨くと光沢があり交差した木目が美しく高い評価を得ています。『黒柿(クロガキ)』の代用として用いられています。 アッシュ
重く耐久性があり、程よい堅さなのが特徴で加工は容易です。辺材は白色、心材は褐色に近い色合いで、つや出し加工をした仕上がりが美しいです。『タモ』に似ている事から代用品として使用されています。 日本の銘木日本でも古くから愛されている銘木があります。『欅(ケヤキ)』、『タモ』、『檜(ヒノキ)』、『栓(セン)』、『楠(クス)』、『杉(スギ)』などが日本を代表する銘木と称されています。 欅(ケヤキ)
日本では古くから親しみ深い銘木で、建築材、箪笥やお椀などに用いられ、神社仏閣にも使用されています。材質は硬質で光沢と美しい木目が特徴です。伐採して乾燥するまでに大きく曲がるので、材料として使用できる状態になるまでに何年も寝かせる必要があります。現在では高価な材料として扱われています。 タモ
家具や日用品として加工されるほか、野球のバットやテニスのラケットなど木製のスポーツ用品として使用されている素材です。材質は固く粘りがあり、弾力性があります。アッシュ材とは近種で、木目がやや細かくはっきりしているのが特徴です。 檜(ヒノキ)
古くから建築材として用いられ、多くの神社仏閣に使用されていました。現在でも高級材として扱われ、色合いは黄白色で、木理は通直で均質になっています。材質の狂いが少なく、耐湿、保存性が高いと評価されています。『塗り仏壇(金仏壇)』の材料として多く使用されています。 栓(セン)
日本全土に広く分布しており、特に北海道で多く見られます。木目が美しいことから、仏壇だけでなく箪笥などの家具や食器類によく使われます。材質は軽く柔らかいため加工が容易で、木目が『欅(ケヤキ)』に似ていることから、代用品として用いられることもあります。 楠(クス)
古くから日本になじみ深い樹木で、神社などでは大樹となった『楠(クスノキ)』を御神木として扱い、信仰の対象とされていることもあります。防虫効果が高く家具や仏壇にも多く使われ、特に仏像など、彫刻材としての評価は高い素材です。 杉(スギ)
日本中に広く分布している特産品で、日本では古くから建築材として使用されていました。辺材は白色、心材は赤褐色で木目が上品で美しく、磨けば独特の光沢を放ちます。特に屋久杉、秋田杉、吉野杉、山武杉、北山杉などが有名です。これらのブランド化された木材は最高級品として取り扱われています。 桐(キリ)
古くから高級木材として評価を得ている材質です。中でも福島県の会津桐、岩手県の南部桐が有名で、その地方の風土が良質の桐を育てると言われています。材質の特徴として木材としては軽い素材ですが、綿密で湿気を通さず、狂いが少ないという特徴があり加工が容易です。また、柾目が美しく独特の光沢を放ちます。花嫁道具の桐箪笥として使われる事は有名ですが、その他にも桐箱など、大切な物を納める道具として用いられています。 黒柿(クロガキ)
大変貴重な木で、古くから珍重されています。「銘木中の銘木」と称され、茶道具や床柱などの建築用装飾材として用いられています。材質は綿密で重硬なため加工は非常に困難です。色目は橙色を帯びた褐色で心材は希に濃淡のある黒色の縞模様になるものがあり、その現れ方によって孔雀杢などと呼ばれ大変貴重なものとされています。 |